音声ファイルのギャップレス再生について


 再生機がアナログレコードやテープの頃、「曲間」と言う概念は、少なくともハードウェア的にはありませんでした。LPレコードの場合、何となく溝が広がっている箇所があるだけだし、テープでは単なる時間的な隙間です。所謂「頭出し」は、その広がっている所に針を落とすか、速送りでやっていました。
 ソニーUBP-X800M2。CDは元より、SACD、DVD、ブルーレイ、USB内のファイル、メディアサーバー、ユーチューブ等、更には規格として終わっているDVDオーディオもサラウンド再生化。4K対応。これでギャップレスなら言うこと無し。その性能からすれば格安。
 ヤマハのRX-V4A。サラウンドアンプとしてはコストパフォーマンス良し。USBやメディアサーバー内のファイルは、手持ちの端末から操作出来る。flacサラウンド再生が出来ないのが難。
 アマゾンファイヤーTV。ほとんど説明不要でしょうが、ソフトウェアのインストールで、自宅の監視カメラを見たりも出来ます。4Kテレビの際に4K用も買ったので、こちらは旅行用の2K。
 さて、時代が進んでCDコンパクトディスクが現れると事情が変わります。曲間の目印はデジタル的に行われ、頭出しはボタン一つで瞬間的に可能になりました。これは録音可能なMDミニディスクでも採用され、後者に至っては勝手に曲間に印を付けたり順番を変更したりも可能です。この為、自分の作品は順番通りに聴いて欲しいという作り手で、わざわざ旧式なカセットを採用する人もいるとか。しかし、聴き手としてはやはり利便性や安定性も採りたいもので、こういったデジタル再生はまだまだ進むでしょう。更に最近は、Spotifyスポティファイ(それにしても、どうして元の綴りのまま書くんだろう。読みにくくて仕方ない。でも、事情は変わらないんだろなあ)やアマゾンミュージックなどのオンライン配信もありますし。
 問題は、組曲やライヴのように、曲間に切れ目がない時です。CDやMDではアナログ時代と同じように再生出来、知らなければそこに切れ目があることが判りません。こういうのをギャップレス再生というそうです。ところが、MP3再生機などではこれが出来ず、隙間が開くことがあります。最新の技術を作った筈が、対応出来ていなかったんですね。
 ただ、実はハードウェアやソフトウェアにこれを解決しているものもあります。そこで、手持ちの再生システムでどうなっているか、出来る限り調べてみました。何かの参考になればと思います。

 で、まずいきなり大雑把な結果ですが、次のようになります。

    ・ ローカルファイルの場合、MP3はどうしても切れ目が出来る。これに対して、flacやwavはギャップレス再生可能。ただし圧縮されていないwavは使い勝手が悪いし、ダウンロードサイト等では供給されていない(と思います)。また、flacはe-onkyo music(これもだ。どうして日本の会社がこんな名前にするんだろう。縦書きで困るぞ)でサラウンドファイルも売っています。
    ・ ダウンロードしないで再生するSpotifyやアマゾンミュージックは対応している(らしい。個人的に契約しているのはSpotifyだけなので、シャッフルされてしまうアマゾンでは確認出来ませんでした、すみません)。ただし、サラウンド再生はない模様。
    ・ ハードウェア的には、アマゾンファイヤーTV(ただし、オンライン配信サイトのみ。後述)、ヤマハRX-V4Aが対応している。ただし、サラウンドが不能。ソニーUBP-X800M2はflacサラウンドが再生出来るけれど、ギャップレスではない。グーグルクロームキャストもギャップレスではありませんでした。
    ・ ソフトウェアでは、アンドロイドのPoweramp(もう、アルファベット表記に突っ込む気もない)が対応している。ただし、メディアサーバーが使えるのかどうかよく判りませんし、サラウンドも無理でしょう。

 ということで表にしてみます。

Spotify*メディアサーバー内
flacファイル
端末内
flacファイル
携帯性備考
ファイヤーTVギャップレス再生可能VLC、Diximともにギャップレス不可 内部メモリーが小さ過ぎて、実質的に実用的でない良い 旅行先に持って行って、テレビ等に繋いで使用出来る。Spotifyはタブレットや携帯電話から操作可能。
RX-V4Aギャップレス再生可能 ギャップレス再生可能だが、サラウンドは再生出来ない ギャップレス再生可能だが、サラウンドは再生出来ない悪い MusicCastソフトを使って、タブレットや携帯電話から直接操作出来ます。家庭用アンプを持ち歩くことはないとして、これでflacサラウンドが再生出来れば最高なんだがなあ。どうしてこう、中途半端に作るんだろう。
UBP-X800M2非対応 サラウンドは再生出来るが、ギャップレスではない。 サラウンドは再生出来るが、ギャップレスではない。悪い 上と逆で、テレビを点けないと操作不能。更に、flacサラウンドは再生出来てもギャップレスではない。これも中途半端。
Poweramp無関係アクセス出来ないギャップレス再生可能最良 アンドロイド用ソフトなので携帯電話にも入る為、大容量メモリーカードがあれば携帯用プレーヤーになる。ブルートゥースで外部アンプに送る事も可。

* メディアサーバーはGL-A1300ルーターのUSBスロットを使用

 ということで、次のような使い方が良いことになります。

    ・ 自宅では、サラウンドでなければRX-V4Aをアンドロイド等の端末から操作。
    ・ サラウンドはUBP-X800M2が必要だが、テレビを点けて操作しなくてはならない。更にギャップレスではないので、繋ぎ目を消すには事前にflacファイルを連結しておく必要がある。
    ・ 出先で歩いているとか乗り物なら、Powerampを使えば通信電波無しで可能。電波や使用バイト量に問題が無いなら、Spotifyは資産の数で有利。
    ・ 上記をブルートゥースで飛ばせば外部アンプも使えるが、再生ファイル以外の音も聞こえてしまう。
    ・ ホテル等ではテレビにファイヤーTVを挿してWi-fiに繋ぎ、Spotifyを使用する。GL-A1300のような外部スロットを持っている旅行用ルーターを持っていればメディアサーバーも使えるが、曲間は途切れる。まあ、この為にファイル連結をする方法もありますが。

 以上、まとめて結論です。

メーカーは中途半端な物しか作らない。

 あああ。
宇宙暦56年1月7日)


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