楽器に関する覚え書き
ハンドロールピアノ―― hand roll piano
弾きにくいね。確かに弾きにくい。ネットでの評判と、店で触った感触でそれは判っていたのだが、職場の都合で注文してしまった。何となれば、文化祭での合奏練習をするためである。つまり、本番で使うつもりは全くないのだから、これでも構わない。とにかく音が出て、何となく合わせ練習が出来ればいいと思っただけのものだ。
だからこの点については、くだくだしく書くつもりはない。店頭で実機を見て欲しい。ただ使ってみて判ったのだが、これはもうちょっと改良すれば別の使い方が出来るのではないかということ。画竜点睛を欠くというか、どうしてこの点に気がつかなかったかと思う点があるのである。
一番理解に苦しむのは、MIDIに対する中途半端な対応だ。説明書にチャートがついていないので詳しいことがわからないのがまず困るとして、問題点は次の点にある。
- 明らかにGM配列を取っていながら、MIDIアウトしか端子がない。
- MIDIアウトから外部につなげた時、指を放したのを感知しないことがある。
- ヴィブラートスイッチがありながら、リバーヴがない。
- ダンパーペダルをつけられない。
これはどういうことかといえば、あとちょっとしたことで立派なGM音源になりえたのに、それが出来ないのである。つまり、MIDIインがないため、外から音源をコントロール出来ない。上記のようにヴィブラートしかスイッチがないから、リバーヴやパン、ダンパーのコントロールチェンジがたとえ内蔵してあっても(多分、してないと思う。ヘッドフォンで聞いてもステレオになっていないし)、それは使えないのだ。せっかくこれだけの小さなサイズを実現したのだから、それはないと思う。
逆に言えば、アウトはついているわけだから、音色は自在になりうる。しかしこの弾き難い鍵盤(しかも、プログラムチェンジ以外は何も送れない)が果たして外部コントローラーとして使えるかは甚だ疑問である。特に、2番目の「指を離したのを時として感知しない」は致命的だ。どういうわけか内部音源のオルガンはちゃんと鳴るのに、外部につなぐと音が鳴り続けてしまうことがある。これでは、これだけ内部にGMと同じだけの128音色を入れているのだから、MIDIアウトは必要ないのではないかとすら思える。
つきり個人的には、このMIDIアウトは取ってしまって値段を下げるか、逆にどのくらいコストが上がるのかは判らないが、きちんとMIDIインを付けて、GMの現在のヴァージョンにくらいは対応していた方が良いのではないかと思うのである。そうすれば、普段は弾き難いながらもちょっとした練習や音合わせに使え、いざとなればGM音源になる。鍵盤は丸められるのだから、大して邪魔にもなるまい。
というのが差しあたっての結論です。購入されるのなら、参考にして下さい。
(宇宙暦38年10月27日)
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