In the Beginning
Let There Be Light
Supernova
Magellan
First Landing
Oceania
Only Time Will Tell
Prayer for the Earth
Lament for Atlantis
The Chamber
Hibernaculum
Tubular World
The Shining Ones
Crystal Clear
The Sunken Forest
Ascension
A New Beginning
「遥かなる地球の歌」 アーサー・C・クラーク
太陽がスーパー・ノヴァ化すると知ったために地球を脱出した人々の子孫と、その後に地球を脱出した最後の宇宙船の出会いを書いた傑作。もともとは短編だった(「天の向こう側」収録)作品を、クラークは30年の後に素晴らしい構想を以って長編化した。
21世紀の始め、地球の人々は太陽ニュートリノの検出によって、1000年後には太陽が爆発することを知った。この期間に脱出計画は少しずつ進められ、やがて人類のDNA遺伝情報を積んだ宇宙船が打ち上げられ始める。そして、その中の一つが惑星サラッサに植民地を作り、人々は平和に暮らしていた。しかし地球本星の技術も進歩を止めたわけではなく、ついに「量子駆動」の発明とともに、遺伝情報ではない、本当の肉体を持った人間が宇宙船「マゼラン号」に乗って飛び立った。
物語は、マゼラン号がサラッサに立ち寄った時の出来事を、むしろ淡々と書いていくことによって進められます。――光速を越える宇宙船は出来ない。ワープ航法の「発明」で、SFでは何か当たり前のように無視されるこの事実に真正面から取り組んだ結果、この小説は、私たちが今住んでいるこの星に対する切ないまでの想いを見事に描いた傑作になりました。たとえ太陽が爆発することがなくとも、私たちの子孫はいつかどこかの星で、「遥かなる地球の歌」をうたうのでしょうか。
翻訳は早川書房から出ています。最近、文庫にもなりました。ぜひ読んでみて下さい。
「遥かなる地球の歌」 マイク・オールドフィールド
「ヘヴンズ・オープン」を最後にヴァージンを離れたマイク・オールドフィールドが、「チューブラー・ベルズII」に続いてWEAから放った第2弾。クラークの傑作SF小説「遥かなる地球の歌」を元にしたコンセプト・アルバム。おそらく、標題ロックのジャンルとしては、キャメルの「スノー・グース」と並ぶ秀作だと思われる。どちらかといえば起伏が少なく、事件らしい事件も起きない原作の小説を、独特のミニマル・ミュージック的なフレーズや、美しいギターとシンセサイザーで鮮やかに表現してみせた。原作を読んだ人なら、終わり近くに聞こえる秒読みと、最後のマゼラン号のエンジン音に、たまらない切なさを感じるであろう。マッキントッシュ版のCD−ROMも一緒に発売されている。