私がこどものころ、父はテレビの野球を見る時にラジオを付けていました。もちろん、テレビの音は消してです。現在でも、名古屋の実家で義父がこれをやっていますから、結構広まっているやり方なのでしょう。これは多分、あの「解説」って奴がテレビよりラジオの方がしっかりしているというか、画面がない分ちゃんと放送をしなくてはならないから、内容が充実しているからだと思われます。他に明らかなメリットとしては、コマーシャル時間がずれるために試合の内容を完全に追いかけられるというのがありますね。
 ただ考えてみりゃ、もしも前者の理由でそうする人が多いのなら、テレビの解説もラジオと同じようにすればいいだけの話です。それに、現在はFMステレオ放送の充実で、テレビの音声はラジオよりもずっと良くなりました。コマーシャル時間がずれるというのも、実はラジオの方がコマーシャルをやっている時の画面だけのテレビというのは、何とも間の抜けたものです(そういえば、昔の野球中継のコマーシャルは今みたいな形式ではなく、なんか画面の下の方にスーパーインポーズで出ませんでしたか?)。
 さて、私の家にはテレビが3台あるのですが(人によってはもっと多いのではないですか、昨今は)、このうち一つは食堂、一つは居間にあって、二つの部屋は隣り合っていますので、同時に見ることが出来ます。で、どういうわけかしばしばこの二つは同じ番組をつけているのです。貧乏性の私としては何とも無駄なことをしているとも思うのですが、ついやってしまいます。結局この理由は何なのかと言うと、どうも「音」とか「画面」とかいう情報は、近くに置いておきたいかららしいのです。遠くにある大きな画面より、近くの小さい画面の方がなぜか落ち着きます。どうも、この辺りにラジオの人々の理由もあるような気がするのですが、いかがなものでしょうか。


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