裏小倉の逆襲


 筒井康隆さんの「裏小倉」に真似て作った短歌集です。元歌がわからないとも言われそうですが、ちゃんと万葉集とかから採ってあります。また、新しいのを思いついたら増える可能性もありますので、最新版の日付は最後に書いておきます。


短歌編

    いのなかは うしとやさいで おもいけど とりだしかねつ とりもたべねば

       牛肉と野菜で胃が重いが、とても取り出すのは無理である。鶏肉も食べなきゃならないのに。


    にきたつに ただのりせむと すきまてば どうもかないぬ いまはかねだしな

       (飛行機が)二機飛び立つと言うのでタダ乗りしてやろうと隙を伺っていると、どうもうまく行きそうにないので、今は金を出しなさい。


    じじばばが かつらかきまぜ さからって いえでけとばせ われはかねづる

       祖父と祖母が鬘を掻きむしって逆らいやがるから、家で蹴飛ばしてやろう。どうせ俺は二人の金づるなのだから。


    いかはしる たるみたれたる こわらびー もえたつさるに まりをけるかも

       烏賊いかは走り、子ワラビーは弛んでおり、猿は(恐らく美少女かアニメキャラクターに)萌え、鴨は鞠を蹴っている(どこかの生物研究所で詠んだらしい)。


    わがきみは ちょっとやそっとじゃ くずれないの いわおとしたら こけいむずかし

       あたしの(養鶏場の)卵の黄身は、ちょっとやそっとのことでは崩れないのよ。岩を落としたら、固形のままでいるのは難しいんだけど(多分、女性の作であろう)。


    しろがねえ こがねたままで なにせむり まけいぬだから こりゃしかられる

       俺の城が無くなってしまった。子供は寝たままだし、何にせよこのままでは無理である。負け犬だから、これは叱られても仕方がない。


    いいえあれは けにもろいいし ばいあぐら かびにしあれば しいのはちばん

       いやあれは、髪の毛にはもろに良いしバイアグラにもなるんだが、ただのかびで(今のところは商品名も付けられないから)Cの八番と呼んでるんだ。


    ずるいつの いつつにわけし まろんだけ すぐにてだした いもみざるまに

       (栗金とんの)芋の部分には目もくれず、五つに分けた栗だけにさっさと手を出すとは、何とずるい奴だっつ〜の。


    うらごしし くりわけたらば かたすぎぬ きみならずして たれかあんぐり

       前の歌の返歌。裏漉しをして栗を分けたからには、(この金団は)もう固過ぎることはない。君以外の誰があんぐりと口を開けて食べてくれよう(おそらく相手は歯が弱いのだと推察される)。


    たいかいの げすとにされて じょうきげん なんだかんだで よるもねられず

       SF大会のゲストになれて喜んだはいいが、何だかんだで夜も寝られない。つらいなあ。


    だらしねえ ばかがつりたる あおがえる すぐしかとして たるにたれつけ

       だらしのない莫迦が青蛙を釣って来た。(釣って来た奴は)無視して、すぐに樽でたれに漬け込もう。


    いわとすな あつきちひょうの ふれーめん きびしからずや みずをとるきみ

       岩と砂ばかりの熱い地表に住んでいるフレーメンは、水を採るのが大変だろうなあ。


    なまくらや ほっとけないと しゃかりきに みんなにとがす やすこだちかな

       この安物の小太刀はなまくらで放ってもおけないので、みんなに砥がせにゃならん。


    にちぷろの ばばといのきを ひとめみん ひとめみんとぞ ただでしのびる

       日本プロレスでジャイアント馬場とアントニオ猪木が一緒に出ているのを一目見たい一目見たいと思い、(金がないので)無料で忍び込んでしまったものだなあ。


    かのむれに ばしばしたたいて そのあまり かゆきになきて さんぽあゆまず

       蚊の群れをバシバシ叩いてはやったが、余りにも痒くて散歩が出来ない。


    とうきょうの こだてのいその しらぬまに われなしつけて かねをたまわる

       東京で一戸建てに住む磯野家の者が知らないうちに、自分は話をつけて儲けさせてもらった(不動産屋の花沢さんが、サザエさんの家を勝手に何かの稼ぎに使ったらしい)。


    ぷれぜんとの なまのやつはし ちょいやばの そとごみのなかに そをすてにゆく

       生八橋をプレゼントに貰ったが、(どうも賞味期限が)ちょっとやばそうなので、外のゴミの中に捨てに行こう。


俳句編

    やすかれー たべるないっそ ここにもれ

       安物のカレーは食べないで、いっその事、こっちのうつわに盛ってくれ。


    ゆくゆくは おもたきびすたの いれどころ

       ウインドウズ・ヴィスタは(作動が)重たいのが欠点だが、何れは入れねばならない(ので憂鬱だ)。


    くいにげや くわずとびだせ みつかった

       食い逃げをしようとしたら見つかってしまった。食わずに飛び出そう。


    やれうつだ はいるてがない あしがでる

       入場料で足が出てしまい入る手がないので、自分は憂鬱だ。


    かびにやんで こめはあらえど たべられぬ

       黴の生えた米は洗っても食べられない。


    すぐにぬこ そこのけそこのけ おうまいがっど

       すぐに抜くんだ、(違う違う)そこの毛だそこの毛だ。ああ神よ、助けたまえ!


    われときて たこべやこやの なかにすめ

       一緒に来て、タコ部屋のある小屋に住みなさい。


    はるのくみ ひねもすにたり にたりかな

       春のクラス替えで何かいいことがあったらしい。


    まずそうだ ああまずそうだが まずひまん

       不味そうな飯だなあ。でも(こんなものでも食ってしまうから)、自分は太っているのだ。


    あんころの ほねまでいてて ぶちきれる

       (腐った)あんころ餅を食べたら(腹どころか)骨まで痛いので、ぶち切れてしまった。


    せきをみてもひっとらー

       (電車に乗って)席を見回したら、アドルフ・ヒットラーがいた。


    うしのすがたにかくれてゆくか

       何か理由があって隠れて旅をしなくてはならないのに、辺りには牛しかいない時の句らしい。


不如帰ほととぎす

    なかぬなら うるにもうれん ほととぎす

       鳴かないホトトギスでは、売り物にならない。


    なかぬなら きゅうりょうやれん ほととぎす

       鳴かないホトトギスに、給料はやれない。


    なかぬなら われはおこれる ほととぎす

       鳴かないホトトギスには、腹が立つ。


    なかぬなら ぶちきれそうだ ほととぎす

       鳴かないホトトギスには、いいかげん切れそうだ。


    なかぬなら かわりになこう ほととぎす

       もうそんなに鳴かないつもりなら、代わりに自分で鳴く。


    なかぬなら ちがうとりかも ほととぎす

       はて、もしかすると、こいつはホトトギスじゃないかも知れないぞ。


    なかぬなら さいぼーぐだぞ ほととぎす

       ええい面倒だ。改造手術をしてやれ。


    なかぬなら ほろぐらむかな ほととぎす

       待てよ、ホログラムかも知れん。


    なかぬなら さわれるものぞ ほととぎす

       しかし、手には触れるしなあ。


    なかぬなら うちゅうからきた ほととぎす

       だとすると、宇宙から来たとか。


    なかぬなら ときをかけるか ほととぎす

       それとも、時間ときを越えて来たとか。


    なかぬなら なかなかこまる ほととぎす

       どっちにしても自分は困っている。


    なかぬなら ほとほとこまる ほととぎす

       ああ、困った。


    なかぬなら ぎすぎすこまる ほととぎす

       困っているんだがなあ。


    なかぬなら こまごまこまる ほととぎす

       困っているんだってば。


    なかぬなら まるまるこまる ほととぎす

       困っている。


    なかぬなら ならならこまる ほととぎす

       困っている。


    なかぬなら ままままこまる ほととぎす

       コマッテイル。


    なかぬなら あきらめようか ほととぎす

       もうあきらめた。


    なかぬなら かってにしやがれ ほととぎす

       勝手にしろ。


    なかぬなら それでもよいか ほととぎす

       でもまあ、それもまたよしとしてやるか。


    なかぬなら たべてしまおう ほととぎす

       そうだ、食っちまおう。


    なかぬなら うまくもないし ほととぎす

       しかし、不味かったなあ。


    なかぬなら はらがいたいぞ ほととぎす

       あれ、腹が痛いぞ。


    なかぬなら どくでもあるか ほととぎす

       毒だ。


    なかぬなら われはもうだめ ほととぎす

       自分は死ぬ。


    なかぬなら このよとわかれ ほととぎす

       さらば、この世よ。


    なかぬなら なむあみだぶつ ほととぎす

       南無阿弥陀仏。


    なかぬなら あんどろいどは ほととぎす
    なかぬなら でんきことりの ほととぎす
    なかぬなら ゆめをみるかや ほととぎす

       (三句まとめて辞世として)それにしても、アンドロイドは電気小鳥の夢を見るのだろうか……。


更新


図書室に戻る