裏小倉の逆襲


 筒井康隆さんの「裏小倉」に真似て作った短歌集です。元歌がわからないとも言われそうですが、ちゃんと万葉集とかの古典や現代作品から採ってあります。また、新しいのを思いついたら増える可能性もありますので、最新版(の先頭)の日付は最後に書いておきます。



短歌編

俳句編

不如帰ほととぎす

    なかぬなら うるにもうれん ほととぎす

       鳴かないホトトギスでは、売り物にならない。


    なかぬなら きゅうりょうやれん ほととぎす

       鳴かないホトトギスに、給料はやれない。


    なかぬなら われはおこれる ほととぎす

       鳴かないホトトギスには、腹が立つ。


    なかぬなら ぶちきれそうだ ほととぎす

       鳴かないホトトギスには、いいかげん切れそうだ。


    なかぬなら かわりになこう ほととぎす

       もうそんなに鳴かないつもりなら、代わりに自分で鳴く。


    なかぬなら ちがうとりかも ほととぎす

       はて、もしかすると、こいつはホトトギスじゃないかも知れないぞ。


    なかぬなら さいぼーぐだぞ ほととぎす

       ええい面倒だ。改造手術をしてやれ。


    なかぬなら ほろぐらむかな ほととぎす

       待てよ、ホログラムかも知れん。


    なかぬなら さわれるものぞ ほととぎす

       しかし、手には触れるしなあ。


    なかぬなら うちゅうからきた ほととぎす

       だとすると、宇宙から来たとか。


    なかぬなら ときをかけるか ほととぎす

       それとも、時間ときを越えて来たとか。


    なかぬなら なかなかこまる ほととぎす

       どっちにしても自分は困っている。


    なかぬなら ほとほとこまる ほととぎす

       ああ、困った。


    なかぬなら ぎすぎすこまる ほととぎす

       困っているんだがなあ。


    なかぬなら こまごまこまる ほととぎす

       困っているんだってば。


    なかぬなら まるまるこまる ほととぎす

       困っている。


    なかぬなら ならならこまる ほととぎす

       困っている。


    なかぬなら ままままこまる ほととぎす

       コマッテイル。


    なかぬなら あきらめようか ほととぎす

       もうあきらめた。


    なかぬなら かってにしやがれ ほととぎす

       勝手にしろ。


    なかぬなら それでもよいか ほととぎす

       でもまあ、それもまたよしとしてやるか。


    なかぬなら たべてしまおう ほととぎす

       そうだ、食っちまおう。


    なかぬなら うまくもないし ほととぎす

       しかし、不味かったなあ。


    なかぬなら はらがいたいぞ ほととぎす

       あれ、腹が痛いぞ。


    なかぬなら どくでもあるか ほととぎす

       毒だ。


    なかぬなら われはもうだめ ほととぎす

       自分は死ぬ。


    なかぬなら このよとわかれ ほととぎす

       さらば、この世よ。


    なかぬなら なむあみだぶつ ほととぎす

       南無阿弥陀仏。


    なかぬなら あんどろいどは ほととぎす
    なかぬなら でんきことりの ほととぎす
    なかぬなら ゆめをみるかや ほととぎす

       (三句まとめて辞世として)それにしても、アンドロイドは電気小鳥の夢を見るのだろうか……。


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