よく知られているように、シャーロック・ホームズの、あの典型的な格好は、ワトスン博士の記録にはありません。鹿撃ち帽とインバネスのコートはストランド誌の挿絵画家シドニー・パジェットによるもの、キャラバッシュのパイプは舞台俳優のウィリアム・ジレットが採用した小道具ということになっています。
したがって、厳密に言えば、これはホームズ・グッズではありません。ただ、一応世界的に広まった印象ではあるし、一つくらいは持っていてもいいかな、とは思っていたので、前に何処かのホームズ展で買いました(写真左)。
私は結構臆病者なので、ニコチンが怖くて煙草は吸いません。したがって、このパイプもただの展示用です。そこに現れたのが、電子煙草でした。この分野は新しいのでまだまだ発展途上にあり、パイプ型はつかんでいる限り、ルーヤンのE−パイプ、グリーン・シグのG500、KRのミニ・パイプの三機種しか出ていません(厳密に言えば四機種なんでしょうが、これから話題にするDSE601は、ルーヤン製品のOEMらしいので)。当然、キャラバッシュなんてあるわけない。ということで、DSE601をこの形に改造することを考えました。
問題は、このDSE601って機種、非常に故障しやすく、私のところで一番長生きなものも、まだ二ヶ月半しか持っていません(記録更新中)。そのため、中国のヘヴン・ギフツという店から、先端の故障しやすい部分、すなわちアトマイザーだけを個人輸入する算段をつけてあります。すなわち、ちゃんとした改造しても、壊れてしまったらそれで終わり。さて、どうしましょう。
考えた末、上に被せる帽子みたいな奴を作成することにしました(写真右)。こうすれば、気分を変えたいときは外せば元のパイプになるし、壊れても差し替えだけですみます(不安なのは、これを書いている宇宙暦11月中旬現在、ヘヴン・ギフツでDSE601が品切れになっていることなんですが)。後はどうやって継ぎ目の部分を誤魔化すか。パイプの部分は当然木目が入っていますから、基本的に取り替えるようにする限り、この部分を完全に繋げるのは無理でしょう。
とか何とか考えながら、とにかく樹脂粘土で形を作っていきます。まずパイプにラップを被せて粘土が着かないようにし、上から材料を重ねて形を取っていきました。
この時気が付いたのは、このような作業の場合、
これ、もっと別の粘土で作るってことも出来るんですが、それだとどうしても重くなってしまいます。逆に樹脂粘土は軽いのが利点ですが、鑢がとても使いにくいので形が整えられません。本当は樹脂粘土の上に、もう一度別の材質(パテとか)をかけて磨けばいいのかも知れませんが、前に光線銃の時に失敗しています。そんなこんなでいろいろと頑張ったのですが、結局どうしても表面に凸凹が残りました。これを「手作りの味」と言い切ってしまえばいいんでしょうがねえ。
出来上がったものにカシューとラッカー、ついでに得意の夜光塗料をかけたのが先の写真です。どう見ても、ピンボールの弾く部分(何て言うんですか、あれ)か茸ですね。でも、左の写真のようにパイプに乗せたら、まあそれらしくは見えませんか。
さて、帽子を被って咥えるとこんな感じ。
「何、初歩的なことだよ、ワトスン君」
駄目ですかねえ。
問題はDSE601が使えなくなった時で、そうなったら適当な電子煙草に粘土被せて、全部作ってしまうしかないかと思っています。