楽器に関する覚え書き

電子ピアノ2――ローランド F−100


 前に別のところに「二度と手に入れることはあるまい」と書いたが、ローランドの電子ピアノを買ってしまった。どうしてかと言うと、子供が大きくなって下の部屋の玩具を片付けたら、少し場所に余裕が出来たためである。前からこの部屋で弾くための鍵盤があるといいなあと思っていたので、思い切って買いに行ったのだ
 さて、楽器の選定の基準は、とにかく場所(特に奥行き)を取らないことと、出来れば鍵盤に蓋が閉まることであった。何だかつまらないことで決めたように見えるが、実際このようなことは重要なのである。それで、この基準から考えると奥行きが狭い電子楽器としてはオルガンよりもピアノになる(オルガンは二段鍵盤がいるから)。ただ、横幅はけっこう取れたので、88鍵という条件もつけることが出来た。これは現在、各社から出ている練習用の電子ピアノのスペックに相当する。鍵盤のタッチと音色についてはかなり改善されているし、MIDI送信が出来れば後で音源を足すことも出来るから、何とかそこそこのものがあるだろう、と思って探した結果が、ローランドのF−100であった。
 実は一つ下のクラスに、F−90というのもあるのだが、こちらは鍵盤に蓋が閉まらない。他社の物でも、意外に布のカバーで済ませているのが多く、金属製の蓋はそうそうないのである。写真の後ろの方に見える銀色の板がその蓋で、これはただ開けるだけでも使える。ただそうすると、音色のスイッチが変えにくくなるので、外して後ろに立てかける方が多い。

 音色と鍵盤のタッチはそこそこといったところか。サンプリングの発達で単音ならかなり本物のピアノに近くなったし、ダンパーを踏んだ時の共振もがんばっている。それに、ローランドはローズ・ピアノの再現にも力を入れていた会社だから、電気ピアノは非常にいい音が出た。
 問題はオルガン系で、ベロシティでレスリーのスピードをシミュレートするのはいいとして、最初から鍵盤スプリットにしてあるのはいかがなものか。音をミックスする機能もついているくらいだから、スプリットを自分で設定する機能くらいつけられたと思うのだが……。右手と左手と違う音「しか」出せないのは問題だと思う
 あと、リバーヴの係り具合が今一つである。浅い方の設定はまず使うことはないと思うので、全体としてもう一つ深めがあった方が良い。更に、スイッチを切っても設定は引き継いで欲しい。ハードウェアのボタンなら出来ることが、ソフトウェア化して不便になったというところか。

 しかしまあ、音が小さくなるのは夜中の練習にもいいし、オーディオとあわせて練習するにも便利だ。その点だけは確かである。

 なお、説明書には外部MIDI機器でプログラムチェンジ信号を送った時の動作について書かれていません(別売の説明書があるとか言ってます)。仕方がないから、自分で送信して実験してみました。以下にそれを書いておきますが、もしも間違っていたらすみません。

プログラムチェンジ番号音色
グランドピアノ
ブライトピアノ
56グランドピアノ/アコースティック・ベース
57グランドピアノ/ストリングス
ステージ・ローズ
エレクトリック・ピアノ
58ビブラフォン
59ステージ・ローズ/エレキ・ベース
ハープシコード
オルガン・フルート
60クラビ
61ハープシコード/ストリングス
パイプ・オルガン
ロータリー・オルガン
62パイプ・オルガン/ストリングス
63ジャズ・オルガン/ロータリー・オルガン
ストリングス
10クワイア
64ストリングス+ブラス
65フルート/ストリングス
12〜27、29〜40、42〜49、51〜54音をミックスする領域ですが、完全には解析出来ていません。
11、28、41、50、55、および66以降無視していると思われます

宇宙暦35年8月5日)


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