楽器に関する覚え書き

ブルース・ハープ――blues harp


 いわゆるテンホールズ、10穴のハーモニカである。ホーナー製だから一応は立派なブランド品、680円で買えたのは、2000年限定モデルが今となっては価値が落ちたかららしい。そういえば、この会社は、クラビネットD−6を作っていたところではなかったか。
 どうも私には、ちょっとある曲が気に入るとすぐにそれを演奏する楽器(と言っても小物だが)を買ってくる悪い癖がある。「大黄河」を聞けばオカリナを買い、キャメルの「白雁スノーグース」を演奏したければフルートを買い――。鉄琴などは、「チューブラー・ベルズ」の冒頭のためだけに買ったようなものだ。
 それで、このハーモニカも、実は「怪奇大作戦」と「ミレニアム・ベル」のためだけに買ったようなものなのだが、そう考えると楽器の選定としては明らかに失敗である。私のように一つの楽器でいろいろなジャンルを扱う場合は、クロマティックのような音域が広くて半音を出しやすいハーモニカを選ぶべきなのだ。
 ブルースハープは穴が10個しかなく、これで3オクターヴをカヴァーする。つまりこのままでは全音ですら音が足りず、況や半音をやである。そこで「ベンディング」という技術を使って半音階を出すのだが、これはけっこう難しい。何とか音が下がるようになるまで、3日くらいかかってしまい、未だにきれいな音にはなっていない。そもそも一点下のAがベンディングなしでは出ないので、短音階はかなり難しい(ただし長音階は、ちょっと練習すればそれらしいアドリブもすぐに出来る)。そのために調律の違う楽器を複数持つのだそうだが、考えてみれば一本が3000円するものを数本揃えるくらいなら、10000円の楽器一つの方が安いのではないか。
 しかしそれでも、何とかこれだけでいくつかの曲は出来るようになりたいものだと思う。サイモンとガーファンクルの「ボクサー」とか「セサミストリートのテーマ」とか、素材はいくらでもある。今日もとにかく、音を下げる練習だなあ。

宇宙暦35年11月19日)


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