ご覧のように、実に単純な作りである。篠笛のように竹で巻いてあったり、漆が掛かっていたりもしない。素朴に生のままの竹に穴が開けられ、「海音」の焼印が押してあるだけ。にもかかわらず、音は非常に良く、音階も出し易い。但し、絶対音階についてはチューニングメーターで計ってみると、イ長調と変ロ長調の中間辺りに来てしまった。もちろんこれは私の技術もあるので、実際に他の楽器と合わせれば、もう少しちゃんとすると思う。
音そのものについてはネットでも様々な感想が書かれているが、私の個人的な感想では篠笛と然程変わらないように聞こえる。木管は演奏者によって音色がだいぶ変わるので、吹き方の問題なのだろう。現に私が演奏すると、フルートも尺八みたいな音になってしまうのだ。名人の演奏を生で聞いたことはないし、そもそも古典楽器ではないんじゃないかと思うので、「これが本当」というのがあるのかどうかも判らない。まあ、この辺りは個性ということでごまかしておきます。
構造を見ると、右側のやや下に二つの穴があるのが特徴である。これは篠笛の七番目の穴と同じものではないかと思う。つまり、長さのバランスと音高を考えた結果なのだろう。ただ、場所がここにあるのと、二つあるのが珍しい(のだと思うが、世界の笛の全てを知っているわけではないからなあ)。
ところで内側に何も塗っていないということは、湿気などへの対応が施されていないわけである。つまりは、経年変化が激しいのだろうか。買ってから三年以上経っても、特に割れたりはしていないようではあるが――。これは沖縄の竹の特徴なのか、出来たところの気候も関係しているのか、はたまた本州ではいずれは傷んでくるのか、この辺は今のところ不明である。
いずれにせよ、結構吹き易く音高が安定しており値段も手頃なで、このジャンルの初心者にもお勧めである。通信販売もしているみたいなので、現地に行かなくても手に入るだろう。何だか、同サイトで売っているトロンボーンオカリナ(この命名もかなりいい加減だぞ。実際には、トロンボーンにもオカリナにも似ていない。スライドは確かについているのだが)とやらも欲しくなってしまったなあ。安いし。