三線と同じく、沖縄の楽器。同僚がそちらに行った時に、買って来てもらったものである。
いや、別に沖縄の音楽を体系的に研究しようとか、そういう意図は全くない。ただ、余り高いものでもなさそうだし、三線の横に飾っとくのもいいかな、と思って頼んだのだ。
この楽器は、西洋ではカスタネットに相当する。踊りながら両手で鳴らす(そのために竹が四枚必要になり、「四竹」と名が付いている)点もそっくりである。ただ、あれ程早いリズムを叩いているところは、現地の舞踊でも見掛けなかった。両手同時に、ゆっくり「カチッ、カチッ」と鳴らす。聴いた感じは、何となくメトロノームのそれに近い。
実はこの楽器には二種類あり、写真のものはプロ仕様だとのこと。すなわち、竹の板にゴムが付いていて、中指を止められる型の物と、そのゴムがなく、自分の指だけで保持しなくてはならない物が存在し、これはその後者なのだ。私もよく知らなかったのだが、買って来てくれた同僚が、たまたまこちらを選んでくれたというわけ。これでも拘りはある方なので、自分で買ってもこちらにしただろう(だから、フルートの時のように、あとで苦労するのだが――)。
だがまあ、指だけで持つといっても別に至難の業ではなく、誰でもすぐに出来る筈だ。最近はインターネットなどで検索すればすぐに写真などが見つかるし、こういった点ではつくづく便利になったものだと思う。ただ、そのような持ち方が本格的であるということは、カスタネットのように速いリズムを叩くのは最初から無理だという訳で、それ故に多分、あのようにゆっくり演奏するのだろう。
しかしいつもながら、どうも私の楽器のコレクションは実用性がない。三線などは、まだ単独で曲を演奏出来るからいいのだが、この四竹なんかは全く使い道がない。いっそ、自分で曲を作って録音でもすれば良いのだろうが、それだとてカスタネットの方が使い易そうだ。だが、それでもこの楽器の価値が減ずるわけではない。
楽器には、ある程度その音そのもの以外の価値がついている。、それぞれ、生み出した民族の生活や文化を、基盤として背景に持っているからだ。だから、必ずしも実用性のみで割り切れるものでもない。私はこれを、沖縄への想いの一つとして所持している。