往年の名デジタル・シンセサイザー

ヤマハSY77音色データ集


 SY77ってご存じですか? もしかすると、まだ使ってらっしゃるかも知れませんね。中古情報にもたまに載っていますが、実際にはあまり見掛けないところを見ると、まだまだ現役なのかも知れません。
 このページのエッセイの所にも書きましたが、これはヤマハが90年代の前半に発売していたデジタル・シンセサイザーのことです。音源には、AWM2(サンプリング音源)とAFM2(FM音源の発展系)を搭載し、16トラック・シーケンサーを内蔵したオール・イン・ワン・タイプ。現在(宇宙暦30年)ではSY99がこのシリーズの生き残りですが、私はまだまだ現役で使い続けています。

 さて、シンセサイザーとはその名の通り音色の合成機のことであって、演奏者が個性を発揮するためには、出来れば自分で音色を作れればこれに越した事はありません。ただ、もっと昔のアナログ・シンセサイザーに比べて、どうもデジタル・シンセってのは感覚的に音色を編集するのが難しく、私も最初のうちは苦労したものです。
 ここには、そのうちの、まあ使えるかなって音色を掲載いたします。何だかつまらないものもあるかも知れませんが、もしも同じ機種をお持ちで、まだ現役で使ってらっしゃる方が、一つでも役に立てていただければ幸いです。


 ではまず、ここか上の写真をクリックして、ファイルをダウンロードして下さい。次にそれをLHAで解凍すると、「HIRATA77.J01」というファイルが出来上がります。これを3.5インチ2DD(MS−DOS/Win95フォーマット。SY77自体でフォーマットしてもよい)にコピーすれば、SY77のディスクとして使えますので、ユーティリティのディスク読み出しで、Synth Allとしてロードして下さい。この際同じディスク内に、拡張子 J01 があると、うまく行かないことがありますので注意して下さい。

 では、以下が音色の解説です。


    INTERNAL A オルガンのセクション

    1. Hammond 1
      1.  ハモンド・オルガン、ジミー・スミス系です。したがって、ジャズ調の曲や、キース・エマーソンのソロに合っていると思います。モジュレーション・ホイールを上げるとコーラスが掛かります。また、ヴォリュームのグループ2がパーカッションになっているので、こちらを上げると音の最初にパーカッション効果が掛かります。

    2. Hammond 2
      1.  上の音色に加えて、4フィートの音を入れたもの。モジュレーション・ホイールのヴィヴラートはグループ2にしか掛かりませんから、グループ1を下げて掛ければ普通のヴィヴラート、上げて掛ければコーラスになります。キャメルの「スノーグース」などがこんな感じです。

    3. Hammond 3
      1.  倍音の多いオルガンで、ビートルズの「レット・イット・ビー」の線を狙いましたが、「今三つ」くらいですね。ただ、もしもそういう使い方をするのなら、モジュレーションを上げて、大目のヴィヴラートを掛けるといいでしょう。グループ2を下げると音がやわらかくなります。

    4. Hammond 4
      1.  ディープ・パープルのジョン・ロード系の音を狙っていますが、オーヴァ・ドライヴがうまく掛かりませんでした。ただ、ギターと一緒に「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を弾いたりすると――青春が帰って来ませんか。

    5. Hammond 5
      1.  これで目論んだのは、実はヴォックスのコンチネンタルなんです。しかし、あの安っぽい音を出すのはなかなか難しいですね。AFM2の基本波形を色々変えては見たのですが――。でも、これでドアーズの「ハートに火をつけて」とか弾くと……。


    INTERNAL B その他の楽器のセクション

    1. Horn Synth
      1.  ここに上げた音色データ集は、AWM2のサンプリング波形は一つも使っていません。すべてFM音源だけで合成しています。したがってこの音も、どちらかというと、70年代プログレッシヴ・ロックで多用された、あのホーンの音色になっているはずです。ピンク・フロイドの「狂ったダイヤモンド」なんか、いかがでしょうか。

    2. Sorina
      1.  ソリーナとはオランダ製のシンフォナイザー(シンフォニックな音を出す鍵盤楽器)のことで、メロトロンが不安定で高価だったことに対抗して使われていました。日本では、ガンダムのBGMなどによく聴かれたものです。最近はサンプリング音源でいとも簡単にこんな音は出るようになりましたが、電子合成のストリングスにはまた、違った味がありますね。

    3. Shou
      1.  Shouとは、もちろん雅楽で使うあの笙です。越天楽のような曲をじょうじょうと弾いてみて下さい。たまには日本の曲もいいものです。


    INTERNAL C 70年代シンセサイザーのセクション

    1. Alpha 1
      1.  ヴァンゲリス・パパタナシューの「アルファ」。「反射率0.39」に収録されたこの曲は、カール・セイガンの「コスモス」などに使われて有名になりました。これはそれを演奏するためのものです。とはいうものの、これだけではあの曲を再現するのは無理ですが――。

    2. Alpha 2
      1.  というわけで、これは左手の伴奏用です。あとはドラムスとかいろいろ取りそろえれば、「アルファ」が弾けます。MIDIデータは作ってみたのですが、それはNIFTY−Serveに大昔にアップしてあります。

    3. Syn Rhythm
      1.  タンジェリン・ドリームですね、これは。あのような、コスミックと言われた音楽には欠かせない音色でした。今でも、ベースの代わりにすると色々と面白い効果が出ます。

    4. Solo Moog
      1.  この音色にこんな名前を付けていいものかどうか。でも、ヴォリュームを大きめに取って鳴らすと、キース・エマーソンやリック・ウェイクマンの感じが出ます。あのころはこういった音で速弾きをしたものです。

    5. Gyps Dance
      1.  「ドラゴン・クエスト」の同題の曲を演奏するために作りました。スタッカートで弾くと、キュンキュンと跳ねる感じが出ます。フォーク・ダンスの曲なんか演奏するといいかも知れません。

    6. Kitaro
      1.  その名の通り、「シルクロード」を弾くためのものです。プリセット2のB−9の音色と組み合わせると、あの独特の浮遊感が出ます。


    INTERNAL D 4エレメントのセクション

    1. Cosmo
      1.  これではメロディを演奏出来ません。ピンク・フロイドの「神秘」の効果音のためのものです。でも、プログレ系の音楽には、色々と使い道があるかも知れません。


宇宙暦28年11月28日)


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