天体望遠鏡あれこれ


 このサイトには「科学実験の部屋」みたいなコーナーはないので何処にしようかと思いましたが、一応宇宙に関する器具の改良譚ですので図書室工作室に揚げておきます。


 さて、最近天体望遠鏡を買いました。スカイウォッチャースタークエスト70SS。知らないメーカーだったのですが、昔持っていたのより1cm大きな口径だし、まあ技術も進歩しているからなあ、と思い、ビックカメラで購入。此処ではこの機種の詳しいレポートはしないというか、出来ません。そもそも他と比べるのが不可能(実際見てみるには買わないといけない)だからです。
 ただとりあえずは、ビクセンアスコット ZR8-32×50より色収差等は少ないみたいとだけ書いておきましょう。あと、ファインダーがよくある三点支持じゃなくて、エアガンの照準器のようなネジ式なので合わせ易いことと、赤道儀の調整が易しいことは付け加えておきます。架台もしっかりしているし。こういう高倍率の望遠鏡の性能は、レンズと同じ位、架台の堅牢さが大切なんですよね。揺れてしまうと、満足に観測出来ませんので。欠点は、ピント合わせの筒がそんなに出ないので、天頂ミラー無しではピンぼけになってしまうことです。アダプターでもかませればいいんでしょうが、これは改良が望まれるところ。
 で、何を記したいかというと、運用しているうちに出て来た改良点についてです。場合によっては、メーカーに物申したいところもありましてねえ。どうしてこういう風に作ってしまうんだろう。

    方位磁石を着ける

       さて、前述のようにこれは赤道儀で、軸はかなり合わせ易くなっています。問題は、夜は北極星が見えるからいいとして、太陽黒点の観測などをしたい時には北向きに合わせるのにどうしてもコンパスがいることです。とはいえ、考えてみれば銀板写真でガイド撮影をする訳でもないので、大雑把に北に向けられれば事足ります。そこで左のように方位磁石を三角のダンボールに取り付け、アクセサリーテーブルに乗っけてみました。
       持ち上げてあるのはテーブルの下に鉄が入っているので、その影響を避ける為です。円柱の部分はコンタクトレンズの使い捨て洗浄ケースに塗装しました。簡単に外せるので、接眼レンズを置く邪魔にもなりません。それでこの後、一度これが北を指している状態で本体を北極星に向けておきます。そうすれば、昼間でもある程度なら北を向けます。天文台とかでは正確に測って固定してしまうところでしょうが、家庭では無理ですよね。もちろん正確さは劣りますが、ある程度の目安にはなるし、前述のようにガイド撮影をするのでもなければ、これでちゃんと使えます。となると、太陽を観察したくなってきますが……。

      追記
         その後ですが、右写真のように紐を着けてぶら下げられるようにしました。方角合わせをし終わったらたらひよいっと外せて、何かを置けます。

    太陽投影板

       これはどうしてかわからないのですが、最近は接眼レンズにつける形式のサングラスとかハーシェルプリズムってオワコンなんですかねえ。売っていないことはないけど、えらく高い。昔は普通に売っていたと思うんですが。事故でもあったのかな。太陽望遠鏡って、それ専用になっているらしい。家庭では一台で全部やりたいのに。値段もさることながら、何より置き場所に困ります。
       それで太陽投影版を使うのが簡単だとは思うのですが、
      ビクセンのも結構高いし、嵩張ります。それでネットで探したら、天頂プリズムと併用して直角に折り曲げる形式のがオークションで出ていました(右写真)。これのいいところって、太陽の側を直接向かないので、遮光板がなくても見易い点です。私が昔持っていたのもこれなんですが、どうしてなくなっちゃったんだろう。
       それで送られてきたものを見ると、付属している支柱(投影板の左にある奴)の輪が小さ過ぎて、現在の望遠鏡の接眼レンズ辺りに入らないんです。こりゃ駄目かな、と思ったのですが、ふと化学実験のスタンドに着けるクランプを思い出しました。あれなら行けそうなので、アマゾンで購入(右)。結果は上々です。右写真のように、屋内で運用出来ます。夏の暑い時でも、涼しい部屋で見られる訳ですね。上記の磁石もあり、追尾も楽です。
       ただ、10mmの接眼レンズを着けても少し支柱が短過ぎるのが難。ぴったりの太さの木材を近所の人からいただいたので、テープで巻き付けました。不格好ではありますが、何、人に自慢するでもなし、これで完全に使えます。ただ、これを書いている時点での太陽は無黒点だそうです、残念。そのうち黒点が撮影出来るといいな。
       でも、もしかすると投影板の部分まで自作出来れば、クランプだけで何とか出来そうですよね。メーカーが作ってくれないのなら、自作という手はまだまだありそうです。

      追記
         宇宙暦2月23日に黒点が出ました。写真ではわかりにくいんですが、二つ見えます。数字は太陽活動領域とか言うそうです。
         それで判ったのは、投影板の汚れはやはり邪魔、だけど塗り直してもいずれ汚れますから、洗濯バサミか何かで紙を止める方がいいみたいです。ただし風に弱くなるので、屋内から見るのもありではないかと思われます。

    ビクセン ファインダーアイピースの改良

       一方、暗くなってから双子座のM35散開星団を見つけようと思ったのですが、これが大変難しい。どうしてかというと、座間市の空が明る過ぎて、目印の恒星であるプロプスが肉眼では見えにくく、ファインダーに入れづらいからです。双眼鏡ならはっきり見えるのですが、ファインダーだと途端に見えなくなる。天頂近くにある時など、私の視力の問題もあって、見上げて照準を取るのがとても困難です。
       しかし考えてみると、双眼鏡なら楽に捉えられる訳ですから、集光力のある望遠鏡なら何とかなりそうです。そこでとにかく本体で捕まえられないかと長焦点の接眼レンズを検索したら、ビクセンから
      ファインダーアイピース100というのが出ていました。100mmという長焦点です。私の望遠鏡なら5倍まで下がりますから、双眼鏡以下の低倍率だと思って買ったのですが……。
       困ったことに、思ったより視野角が取れません。何と、本体に付属していた20mmより狭い! がっかりです。五千円弱もしたのに。検索してみると、結構皆さんそうおっしゃってます。これなら40mmを買えば良かった。
       それでも諦めずに分解して調べてみたら、十字の照準を入れる為に入っているレンズ(右写真)が視野を狭めているのです。これは困りもの。ただ、このレンズはネジで嵌めてあるだけのようです。そこで外してみたら、双眼鏡に近い視野が得られました! これならいけます。
       ここで注意点ですが、私はうっかり十字線に触ってしまった為、此処を切ってしまいました。どうせいらないからいいとはいえ、気を付けないといけないのは確かです。したがって、これをやるには充分注意した上で、自己責任でお願いいたします

       さて、視野は無事に広がったとはいえ、十字線はあった方がいいかも知れません。そこで自作することにします。
       まずコンピューターで、内側30mm・外側42mmのドーナツ型を作り、十字に印を入れます(マイクロソフトワードデータはこちら)。これを切り抜いた後で印の外側に切り込みを入れ、反射率の高い細糸を挿んで着けます。次に左のように枠に両面テープを貼って固定したものが右です。こういう時、コンピューターは正確で有り難い機械です。

       完成しました。左が初めについていた枠、右は外した後に十字線を入れたものです。当然実際は倒立だったりするのですが、見易くする為に写真を回転してあります。これで視野が広がっているのがお判りだと思います。
       実際に空を見てみると、オリオン座の三ツ星が全て入りました。20mmではなかなか見つけられず、そもそも視野に入ってもそれとは確認出来ない双子座のテジャトポステリオルとプロプスも、位置関係が判り易くなので確認が簡単です。こういう小さな星って、苦労してつかまえてもどれがどれだか判りにくいんですよね。どうにかM35(らしきもの)も見つけられました。
       問題は、糸の反射率が今一つなので夜空を背景にすると見えづらいことです。照準は結構正確なのですが。まあ、これは仕方ないでしょう。

       でもなあ、これ、最初からメーカーがこう作ってくれれば良いことなんだよなあ。どうして視野角を狭くしたんだろう。元々これは、初心者が本来のファインダーの軸合わせに苦労するのを解決する為に出した製品らしいんだけど、どちらにしてもファインダーにとって視野角は命だと思うのですがねえ。

 ということで、目下は土星と木星が上がって来るのを待っている状態です。旅行の時は、ズーム双眼鏡を持って行くつもり。時には宇宙を見上げるのも良いものです。私は一週間に四つの流星らしきものが視野を横切るのを見ました。肉眼では見えない明るさだったと思います。獅子座流星群が出ていたみたいですが、運も良かったのでしょう。

宇宙暦53年2月23日改


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