ハモンド・オルガンのようなトーンホイールタイプのオルガンをソフトウェア化したもの。すなわち楽器ではなく、ソフトウェア音源である。故に右の画像は、コンピューターの画面そのものをコピーしてある。
性能云々よりも前に、何故これを買ったのかというと、まずはソニーのバイオ−Uに話は始まる。これはご存知のように、とても小さいコンピューターで、ほとんどウィンドウズCE機に毛の生えたようなサイズだ。しかしその大きさにウィンドウズXP(ヴィスタにも対応)が丸ごと入ってしまい、USB等もきちんと使える。すなわちこれにUSBのMIDIインターフェイスをつなげると、後はソフトウェア音源さえ入れてしまえば、事実上無限の性能を持つことになるのだ。
さて、手持ちのハモンドXM−1は、買った当時は画期的なものだったが、自宅の音楽室でケーブルを繋いでしまうと、やはりおいそれとは持ち運べなくなる。それで外でライヴなどをやる時は、仕方なくケーブルの山を掻き分けて外してから運ぶわけだが、本当は一番いいのはもう一つ買ってしまうことである。それで、最近ローランドが、最初からドローバーも一体になった音源を出していることも知ってはいたのだが、やはり9万円余りという値段では、余りやりもしないライヴのためには手が出ない。第一普段はどうするのか。何処かで安売りしていたら階下の電子ピアノに繋ぐのもいいかな、などと考えていたところへ、別の事情から(ノート型が調子悪くなったため)バイオを買ってしまった。それでこのソフトに飛びついたのである。
実はこれにはアカデミックパックがあって、教員の身分証明書や学生証があれば2万円余り。性能から考えれば、安すぎるくらいだ。ドローバーこそ付いていないものの、私は普段、演奏中に音を替える時は、セッティングのボタンを使う。ドローバーは、あくまで合成のためのものである。だから、別売にUSBのドローバーがあることは知っているが、それも買っていない。ソフトだけで充分だ。
実際、画面の左の方にある黒白逆の鍵盤が、本物のB−3などと同じくその役割をする。つまり、バイオの画面タッチ機能を使えば、音色の変更は一瞬である。
肝心の音はといえば、普通に使ったら、多分ほとんど本物と変わらないと思う。というか、そもそも私はレコードを通じてしか本物のB−3を知らないのだ。元々がスピーカーから音を出す物故、そこまでのこだわりはない。
ちょっと面白かったのは、ヴォックスコンチネンタルやファルフィッサなどの音もサンプリングされている点である。ドアーズのあの音が出せるわけだ。
問題はライセンス認証で、インターネットでこれをやらないと使えないのだが、アカデミックパックだと、コンピューターは一台しか入れられない。わからないのはハードの方を買い換えた時どうなるかで(何せ、日本の製品ではない)、これは少々心配である。しかし値段から考えれば、その時は新しいヴァージョンも出ているだろうし、総取替えでも損はあるまいと多寡をくくっているわけだが――
ということでXM−1と合わせて、オルガンの音には満足している。後はミニモーグがこのくらいの値段でソフト化されれば有り難いのだが――。