ギターである。中学生の頃にブームになったものだ。クラスでも、ちょっと時代に敏感な奴等は、盛んにギターをやっていた。そういえばあの頃は、学校にも「ギター部」というのがあったが、今はどうなってしまったのだろう。あまり聞かなくなってしまった。時代はエレキ・ギターに移ってしまい、このような電気を使わないギターは、一人でこっそり演奏するものになってしまったのだろうか。
同じように電気を使わず、また独奏用楽器としてギターと双璧を成すものにピアノがあるが、こちらはまだまだ健在なようである。家庭用のアップライトは電気ピアノに押されているそうだが、グランド・ピアノは安定しているらしい。「クラシック」という大きなジャンルを後ろに控え、ヴァイオリンよりも応用範囲が広い(ジャズやロックなどに広く使えるし、キーボードという形態が他の楽器と併用しやすい)ためか、当分すたれることはあるまい。
しかし、クラシック・ギターにはどんな使い方があるのだろう。もちろん、名曲は存在する。「禁じられた遊び」、「アルハンブラ宮殿の想い出」等。ただ困るのは、自分などが考えてこの程度しか思い付かないことで、大作「アランフェス協奏曲」はオーケストラが必要だし、第一難しすぎる。どうもピアノに比べて、「その楽器のために作られた」曲が少ないように思う。だからといって、他の楽器のために作られた曲の編曲ばかりではあまり面白くあるまい。楽器の興隆にはどうしてもそのための音楽が必要で、その点ギターは作曲が難しい(演奏法が特殊なため、自分で弾ける人でないとほとんど不可能)ため、どうしても作品の数が限られてしまうのが不幸だったのだろう。実際、いくつかどうしても弾きたい曲はあったが、あまり専門的に練習しようという気にはならなかった。フォーク・ギターに至ってはなおさらである。
ということで、写真ではわからないが、弦が切れたまま放りっぱなしになっている。本当は、ピアノとギターの両方が出来れば、弾き語りなどが出来て便利だとは思うのだけれども――。