大編成のオーケストラの編曲が難しいのは何故でしょうか。答は、その過程を聴きながら作業が出来ないから、です。
ピアノ曲やギターの曲の場合、その楽器の演奏者なら、ある程度の演奏技術と和声の知識があれば、多分簡単に編曲出来るようになるでしょう(もちろん、「いい編曲」を作るには、またある程度の力がいります)。何となれば、たとえどんなに時間がかかろうとも、実際に楽器を弾きながら、ああでもないこうでもないと練り直せばいいからです。ところが、複数の人間がかかわる合奏形態になるとそうは行きません。出来上がっていく過程を、一人では演奏して聞く事が出来ないからです。それでもロックのバンドみたいなものならまだ何とかなりますが、大編成のオーケストラとなるともうお手上げ。プロの作曲家は、頭の中だけでよくあんな編曲が出来る物だと頭が下がります。ストラヴィンスキーなどはリハーサルの最中にどんどん楽譜を直したと言いますが、あんな大作曲家ですらそうなのですから、私などが管弦楽を作るなんてのは夢みたいなものでした。
しかし今、我々はコンピュータを手に入れました。MIDIで作曲する時は、出来上がる過程を実際に耳に出来ます。これなら私でも、管弦楽の編曲が可能になるのです。
まあ、もちろん実際にMIDIで打ち込んだ「管弦楽曲」を、そのまま本物のオーケストラで演奏しても違ったものになってしまうかも知れませんが、それでも「こんな感じ」というのは呈示出来ます。ということで、ここには私の曲でないものを編曲してお送りします。といっても、さて、現代の曲はいろいろ著作権とかやばいし、管弦楽を作りなおしてもオリジナル以上になるはずはない。となると、やっぱりピアノ曲の管弦楽版ということになるでしょう。
ところで、私は「作曲ソフト」とか言うのでしょうか、ソフトが勝手にリズムやコードをつけてくれるとか、あるいは素材を選んでつなげるようなものは好きではありません。もちろん、他の人がそうやって作編曲をするのをとがめるつもりはありませんが、何か自分の個性を失っちゃうような気がするんですよね(もっとも、そもそも「作曲」という行為自体、その本質が「素材の組み合わせ」に過ぎないという意見にも一理はあるんだよなあ)。だから、作曲編の方もそうですが、ドラムパートのすべてシーケンサの基本機能だけを使って、音符を一つ一つ打ち込んであります。コンピュータの機能らしき部分といえば、繰り返しの部分をコピーで張り付けているくらいのものでしょう。これについてはそんなに主張したり議論したりするものではありませんが、まあ私のこだわりの一部だと思って下さい。
私の編曲したその他の曲を紹介します。
それから、@NIFTYの会員の方は、そちらのMIDI洋楽フォーラムとMIDI・JポップフォーラムでJASRAC管理下の曲をお聴きいただけます。私のIDはVFA02526ですので、それで検索をかけて下さい。曲目は次の通りです。
ただし、これらは編曲というよりは、素直に打ち込んだだけのものではありますが……。
クシコスの郵便馬車(H. Necke)
作者のネッケについては何もわかりません、と前に書いたのですが、これはむか〜し読んだ本の記憶で書きました。ところが、電子メールで、音楽之友社の「新音楽辞典・人名」に載っているというご指摘をいただきました。それによると、ドイツの作曲家でデューレン市の音楽監督を務めた人だそうです。いいかげんなことを書いてすみません。
さて、曲の方は、お聴きになればわかる通り、運動会で聞くあれです。全音からピアノ曲として出ているのですが、これはムソルグスキー「展覧会の絵」のように、いろいろな編曲がありますね。ただ、決定打はないみたい。ラヴェルのような大作曲家が取り上げるようなものじゃないからなんでしょう。こうして管弦楽にしてみると、また味わいがありますね。
その他の編曲
まず、勤務先である神奈川県立柿生西高等学校の紹介ページで流れる同校の校歌のオーケストラ版は、私が編曲しました。この学校の校歌の編曲は、別にロック版も作ってあります。
洋楽フォーラム
Tubular Bells (Mike Oldfield)
North Star / Platinum Finale (Philip Glass/Mike Oldfield)
Pran's Theme / Killing Fields (Mike Oldfield)
Early Stages / Tubular Bells II (Mike Oldfield)
Jポップフォーラム
Take Me Higher(ウルトラマンティガ・主題歌)
タイムトラベラーのテーマ(高井達雄)