好きなSF小説に関する覚書です。一応ベスト10のような感じで選んでみます。よくこういうベスト10は、「日本部門」と「海外部門」にわけるみたいですが、「日本部門」はともかくとして、「海外部門」は「(日本を含む)世界部門」とすべきではないでしょうか。そこでここではそのような区別をせず、純粋に好きなSF小説を並べてみました。
ただ、この中に順位を付けるのは難しいし、10という数にも、自分の手の指の本数という以上の意味はありません。したがって、並び方には特に意味を付けず、タイトルのアイウエオ順にしてあります。また、短編だろうとシリーズだろうと区別はなく、すべてごちゃまぜにしてみました。まあ、私が誰かに薦めるSFということですが、もちろんほとんどのSFファンの方は読んだろうと思う小説ばかりですので、「あ、このホームページはこんな奴が作ってるんだ」とでも思って見て下さい。
幻影の構成 | 眉村卓 |
幻想の未来 | 筒井康隆 |
砂漠の惑星 | スタニスワフ・レム |
戦闘妖精・雪風 | 神林長平 |
デューン・シリーズ | フランク・ハーバート |
ネプチューン | 新井素子 |
遥かなる地球の歌 | アーサー・C・クラーク |
百億の昼と千億の夜 | 光瀬龍 |
復活の日 | 小松左京 |
ロボット〜帝国〜ファウンデーション・シリーズ | アイザック・アシモフ |
こうしてみると、結局何だかオーソドックスというか、私もごく普通のSFファンなんですねえ。ただちょっと気がついたことがいくつか。
まず、かなり有名な作品でしばしばファンのベスト10に上がりながら、私が出さなかったものがあります。ざっと気がついただけでも、「闇の左手」、「幼年期の終り」、「地球の長い午後」、「宇宙の戦士」、あるいはティプトリーやニーヴン、エリスン、ディック、バラード、ブラッドベリなどの諸作品など。これらは、単に私の好みがこちらに向いていないだけということもあるし、たまたま上げるべき作品が思い付かないというのもあります。ニーヴンなどは、もちろんとても楽しく読めるのですが、こういう所に上げるのに適当な作品がないだけです。ベスト10的な選び方をすると、平均値として好きな作家よりは、たまたますごく良いのが一作あるというだけで出て来てしまう人というのが、確かにありますよね。
クラークについては、「幼年期の終り」も「宇宙のランデブー」も「オディッセイ」のシリーズも採らず、「遥かなる地球の歌」を選びました。純粋にそれが好きだからですが、これはタイミングの問題もあります。サイバーパンクのせいで私がSFを離れてしまい、でも完全に忘れることも出来ずに「わかる」SFに飢えていた時、マイク・オールドフィールドのCDとともに現れたというのは、何か運とでもいうものを感じます。これについては別の所に書きましたが、個人的な事情があるということで理解して下さい。
ディックは困りました。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」が悩みなのです。傑作であることはわかっています。ただそれ以上に、映画の「ブレードランナー」が好きで、どうしても原作と映画の中心点がずれて見えてしまうのです。原作の、何を信じていいんだかわからない白昼夢というのもいいのですが、雰囲気やアンドロイド達の心情その他を鑑みて、映画の印象に小説が座を譲ってしまいました。
次に日本人です。
まず、仲人までやっていただいた矢野徹さんですが、傑作「カムイの剣」はSFと呼ぶにはどうしてもためらわれます。「地球0年」か「折紙宇宙船」を出せばいいのかも知れませんが、何よりも、翻訳家としての業績があまりに大きいため、どうしてもそちらの方に目が行ってしまうのです。同じように、豊田有恒さんも、私が最高傑作だと思ったのは、「倭王の末裔」等の歴史小説や、エッセイの分野です(例え掲載されたのが、SFマガジンだとはいえ)。矢野徹さんなんかもそうですが、SF以外に印象の強い傑作があると、どうしてもSFベスト10では不利ですね。
それから、星新一さんは困りました。ショートショートの個々の作品は、やはりこのようなベスト10に向くとは思えないし、だからといって本一冊というわけにもいかない。長編「気まぐれ指数」はSFとは言い難いし、そこで選外になってしまっています。
小松左京さんは、私としては本領は短編にあると思います。「骨」とか「くだんのはは」とかは忘れられない作品です。ただ、長編にもすごくいいのがあるので、結局オーソドックスに「復活の日」を採りました。
その他、忘れてならない人はたくさんいます。堀さんも梶尾さんも入れそこねてしまいました。新しい人達については尚更です。また、選んだ作品についても、個々に言いたいことがあります。これらについては、また今度やりましょう。