このサイトには「科学実験の部屋」みたいなコーナーはないので何処にしようかと思いましたが、一応宇宙に関する器具の改良譚ですので図書室と工作室に揚げておきます。
さて、最近天体望遠鏡を買いました。スカイウォッチャーのスタークエスト70SS。知らないメーカーだったのですが、昔持っていたのより1cm大きな口径だし、まあ技術も進歩しているからなあ、と思い、ビックカメラで購入。此処ではこの機種の詳しいレポートはしないというか、出来ません。そもそも他と比べるのが不可能(実際見てみるには買わないといけない)だからです。
さて、前述のようにこれは赤道儀で、軸はかなり合わせ易くなっています。問題は、夜は北極星が見えるからいいとして、太陽黒点の観測などをしたい時には北向きに合わせるのにどうしてもコンパスがいることです。とはいえ、考えてみれば銀板写真でガイド撮影をする訳でもないので、大雑把に北に向けられれば事足ります。そこで左のように方位磁石を三角のダンボールに取り付け、アクセサリーテーブルに乗っけてみました。
その後ですが、右写真のように紐を着けてぶら下げられるようにしました。方角合わせをし終わったらたらひよいっと外せて、何かを置けます。

これはどうしてかわからないのですが、最近は接眼レンズにつける形式のサングラスとかハーシェルプリズムってオワコンなんですかねえ。売っていないことはないけど、えらく高い。昔は普通に売っていたと思うんですが。事故でもあったのかな。太陽望遠鏡って、それ専用になっているらしい。家庭では一台で全部やりたいのに。値段もさることながら、何より置き場所に困ります。
宇宙暦2月23日に黒点が出ました。写真ではわかりにくいんですが、二つ見えます。数字は太陽活動領域とか言うそうです。
一方、暗くなってから双子座のM35散開星団を見つけようと思ったのですが、これが大変難しい。どうしてかというと、座間市の空が明る過ぎて、目印の恒星であるプロプスが肉眼では見えにくく、ファインダーに入れづらいからです。双眼鏡ならはっきり見えるのですが、ファインダーだと途端に見えなくなる。天頂近くにある時など、私の視力の問題もあって、見上げて照準を取るのがとても困難です。
それでも諦めずに分解して調べてみたら、十字の照準を入れる為に入っているレンズ(右写真)が視野を狭めているのです。これは困りもの。ただ、このレンズはネジで嵌めてあるだけのようです。そこで外してみたら、双眼鏡に近い視野が得られました! これならいけます。

さて、視野は無事に広がったとはいえ、十字線はあった方がいいかも知れません。そこで自作することにします。
まずコンピューターで、内側30mm・外側42mmのドーナツ型を作り、十字に印を入れます(マイクロソフトワードデータはこちら)。これを切り抜いた後で印の外側に切り込みを入れ、反射率の高い細糸を挿んで着けます。次に左のように枠に両面テープを貼って固定したものが右です。こういう時、コンピューターは正確で有り難い機械です。

完成しました。左が初めについていた枠、右は外した後に十字線を入れたものです。当然実際は倒立だったりするのですが、見易くする為に写真を回転してあります。これで視野が広がっているのがお判りだと思います。
実際に空を見てみると、オリオン座の三ツ星が全て入りました。20mmではなかなか見つけられず、そもそも視野に入ってもそれとは確認出来ない双子座のテジャトポステリオルとプロプスも、位置関係が判り易くなので確認が簡単です。こういう小さな星って、苦労してつかまえてもどれがどれだか判りにくいんですよね。どうにかM35(らしきもの)も見つけられました。
問題は、糸の反射率が今一つなので夜空を背景にすると見えづらいことです。照準は結構正確なのですが。まあ、これは仕方ないでしょう。
でもなあ、これ、最初からメーカーがこう作ってくれれば良いことなんだよなあ。どうして視野角を狭くしたんだろう。元々これは、初心者が本来のファインダーの軸合わせに苦労するのを解決する為に出した製品らしいんだけど、どちらにしてもファインダーにとって視野角は命だと思うのですがねえ。
ということで、目下は土星と木星が上がって来るのを待っている状態です。旅行の時は、ズーム双眼鏡を持って行くつもり。時には宇宙を見上げるのも良いものです。私は一週間に四つの流星らしきものが視野を横切るのを見ました。肉眼では見えない明るさだったと思います。獅子座流星群が出ていたみたいですが、運も良かったのでしょう。