楽器に関する覚え書き

ペダル鍵盤――pedal keyboard


 ハモンドオルガンのペダル鍵盤を買った。鈴木楽器から出ているもので、4万円をちょっと切るくらいか。

 エレクトーンを弾いていたので、ペダル鍵盤には昔から馴染みがあった。いや、「昔は」馴染みがあったと言うべきかなあ。実家を出てしまってから、10何年かペダルのあるオルガンには触れなかったのだから。
 エレクトーンのところにも書いた通り、ペダル鍵盤はむしろ演奏をやさしくする。コードのリズムを作るには、左手一丁でやってしまうより簡単なのである。まあ、本格的なパイプオルガンみたいに旋律を弾くとなると大変だろうが、そんなに凝らなければ意外に習得は容易い。最初はちょっと戸惑うが、慣れてしまえば足元を見る必要はない。

 機械の性能としてまず挙げられるのは、MIDIのマージだろう。というか、これはついているべくしてついているもので、これがなければちょっと面倒なことになる。
 つまり、ほとんどの音源はMIDI−INを一つしか持っていない。手持ちのハモンドXM−1も例外ではない。しかし外部のキーボードをつないでMIDIで3段鍵盤にしようとすると、どこかでMIDI信号を混ぜる必要があるのだ。
 今までは手持ちのパッチベイでこれをやっていたが、残念なことに2つまでしかマージ出来ない製品である。どうしようかと思ったが、このXPK−100はMIDI−INが二つついており、これでMIDIのマージが出来るのである。とても有難い機能だ。

 弾いてみると、低音部が入ったために大変にいい感じである。バッハのトッカータなど、手だけで弾くとどうしてもごまかさなくてはならないところがあるが、足鍵盤が入ればそこがきちんと鳴らせるのだ。そうでなくても、キャメルの「スノーグース」や「ツァラトゥストラはかく語りき」など、ベースを入れるだけで大変に感じがよくなる。
 久しぶりにエレクトーンの奏法をやってみたが、ちょっとこのペダルの方がヤマハのものより幅が広いのか、多少練習が必要である。しかし、リズムがベースで入れられるので、ちょっとしたコードの書いてある曲ならすぐにこなせそうだ。

 困るのは、足元がごちゃごちゃになってしまい、ちょっとミスが増えることである。特にピアノのダンパーとの併用はやっかいだ。何でそんなことをするのかと言われれば、電気ピアノとオルガンを一緒に鳴らしたいことがあるからである。更にここにボリュームペダルが加わるのだから、足が足りなくなってくる。工夫が必要である。

 店に在庫がなかったところをみると、あまり売れていないのだろう。バンドでオルガンを弾く時はベースギターの奏者が別にいるから必要がないし、クラシックの曲には音域が足りない。ジャズではジミー・スミスなどは使っていたが、他にはリー・マイケルズや「神秘」のスタジオ盤の方でリック・ライトが弾いていたか。
 まあ、家で一人でオルガンを楽しむ人には買いというところだと思う。

宇宙暦33年10月28日)


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